この記事でわかること
- 「まず動く」の次に来る、目標を決める段階
- 目標の粗利から、必要な在庫数は逆算できる
- 「平均」という数字に潜む、ちょっとしたクセ
- あなたの「最適在庫ゾーン」を計算してみる
- ゾーンを超えたら、処分して「席」を空ける
- 最適在庫ゾーンを回し続けるには、仕組みが要る
中古せどりのノウハウでは、よく「とにかくまず動け」「考える前に仕入れてみろ」と言われます。これは、まったくその通りだと思います。特に始めたばかりの時期は、頭で考えているより、実際に一点仕入れて出品してみたほうが、はるかに多くのことがわかります。この記事は、その「まず動け」を否定するものではありません。
ただ、手を動かし続けていると、多くの人がある壁にぶつかります。「自分は、いったいどこまで在庫を増やせばいいのか?」という壁です。在庫は多ければ多いほど売上が伸びる——そう思って点数を増やし続けた結果、管理が追いつかず、資金も詰まり、かえって手が止まってしまう。今回は、この「在庫数」というテーマを、目標から逆算する形で整理してみます。
「まず動く」の次に来る、目標を決める段階
せどりを始める前の一番の壁は、多くの場合「最初の一歩が踏み出せない」ことです。仕入れにお金を使うのが怖い、失敗したくない——そうやって動けないでいる人にとっては、「まず動け」というアドバイスが何より正しい。この段階では、細かい計画より、実際に仕入れて売る経験を積むことのほうがずっと価値があります。(この最初の一歩の心理的なハードルについては、せどりで最初につまずく”先行投資マインド”の壁の記事でも触れています。)
問題は、その「まず動く」をいつまで続けるのか、という点です。ここを語っている情報は意外と多くありません。手を動かすうちにやり方が見えてきて、月に何点かは安定して売れるようになる。そのタイミングで、次に考えるべきなのが「自分はどこを目指すのか」の明確化です。副業として月3万円の粗利で十分なのか、いずれ本業として月30万円を目指すのか。ここが決まらないと、在庫を増やすべきなのか、絞るべきなのかも決まりません。

言い換えると、初期は「深く考えずまず実行」でいい。けれど、ある程度回り始めたら、一度立ち止まって「目標とする月間粗利」を決める。この記事で扱うのは、その目標が決まった人が次に考えるべき「では、在庫は何点あればいいのか」という問いです。
目標の粗利から、必要な在庫数は逆算できる
「最適な在庫数」は、勘で決めるものではなく、目標から逆算できます。順番に見ていきましょう。
たとえば、目標とする月間粗利を10万円だとします。そして、あなたが扱う商品の1点あたりの粗利が、平均で2,000円だとします。すると、月に売り切らなければならない点数は「10万円 ÷ 2,000円 = 50点」と出ます。ここまでは、多くの人が計算したことがあるはずです。
大事なのはここからです。「月に50点売る」ために手元に必要な在庫は、50点ではありません。商品は出品してから売れるまでに時間がかかるからです。仮に、仕入れた商品が平均30日で売れるとしましょう。すると、月に50点を売り続けるためには、常に50点前後の在庫が「売れるのを待っている」状態でなければ回りません。これが、あなたにとっての在庫数の中心的な目安になります。
ここで効いてくるのが、扱うジャンルの違いです。同じ「月10万円の粗利」を目指すにも、ジャンルによって必要な在庫数はまったく変わります。
- 低単価・高回転のジャンル(例:本やメディア系など):1点あたりの粗利は小さいので、売るべき点数は多くなる。ただし回転が速いぶん、在庫は積み上がりにくい。
- 高単価・低回転のジャンル(例:専門機材や大型家電など):1点で稼げる粗利は大きいので売るべき点数は少ないが、売れるまでの日数が長いと、少ない点数でも資金と管理の負担は重くなる。
つまり「在庫100点」という数字は、ジャンルによって意味がまるで違います。回転の速い本なら難なく回せる100点が、回転の遅い高額品では資金を完全に固定してしまう100点になりうる。だからこそ、他人の「在庫は◯点が理想」という数字をそのまま真似ても意味がなく、自分の目標・単価・回転から逆算するしかないのです。(1点=1回分の出品作業が発生する中古一点モノで、点数が増えることの負担については大口出品への切り替え判断の記事もあわせてどうぞ。)

「平均」という数字に潜む、ちょっとしたクセ
この後、シミュレーターで実際に数字を入れてもらいますが、その前に一つだけ注意点があります。ここで使う「平均」という数字は、意外と実態を映さないことがあるのです。
たとえば手持ちの在庫が、多くは2〜3週間で売れているのに、数点だけ半年近く居座っているとします。この「居座り組」が、平均の回転日数をぐいっと引き上げてしまう。すると「うちの平均回転は約2ヶ月」といった数字が出て、ふだん売れている大多数の商品の感覚とは、かなりズレた値になります。粗利も同じで、たまに出る当たり商品が全体を押し上げるので、平均粗利は「いつもの1点」より少し良く見えがちです。
もし手元にデータがあるなら、平均だけでなく「ちょうど真ん中の1点(中央値)」も見てみてください。平均のほうが中央値よりずっと大きいときは、一部の売れ残りが数字を歪めているサインです。この記事のシミュレーターは平均をもとに計算しますが、「平均に振り回されすぎない」という前提で見てもらえればと思います。そして——平均を吊り上げているその”居座り在庫”こそ、この後で触れる「処分して席を空ける」対象そのものなのです。
あなたの「最適在庫ゾーン」を計算してみる
では、実際に計算してみましょう。以下のシミュレーターに、目標の月間粗利・1点あたりの平均粗利・平均回転日数を入れると、あなたにとっての「最適在庫ゾーン」の目安が出ます。ゾーンが幅を持っているのは、扱うジャンルの価格や回転にどれくらいブレがあるかによって、適正な在庫の余裕度が変わるからです。ブレの大きいジャンルほど、ゾーンは広めに取ります。
「いまの在庫点数」と「パートナー人数」も入れると、あなたが今ゾーンの中にいるのか、超えているのか、あるいは体制に対して目標が重すぎないか、の目安も表示されます。あくまで概算の目安として、気軽に数字を動かしてみてください。

あなたの「最適在庫ゾーン」目安チェック
必要点数
上限目安
※本シミュレーターは概算の目安です。「管理点数の上限目安」は、1人あたりが無理なく扱える一点モノの点数をおよそ200点と仮定し、パートナーが増えるほど上限が広がる、というざっくりした試算です(パートナーの習熟度=”質”によって実際の上限は上下します)。目標に対して体制が追いついていない場合は、パートナーを増やす・より高単価のジャンルに寄せる・目標を見直す、のいずれかで調整することになります。
数字を動かしてみると、目標粗利を上げるほど、あるいは回転の遅いジャンルを選ぶほど、必要な在庫数がぐんと増えるのがわかると思います。そして、その必要在庫が「管理できる目安」を超えたとき、警告が出ます。これは「目標が高すぎる」という意味ではなく、「その目標なら、体制も一緒に引き上げる必要がある」というサインです。ここが、次のパートにつながります。
ここで一つ、大事な前提を確認しておきます。このシミュレーターはあくまで「考え方の型」を掴むための簡易的なイメージであり、実際のビジネスはこれほど単純ではありません。仕入れ市場の相場変動、季節要因、突発的な仕入れチャンスなど、数式には現れない要素が数多く絡みます。出てきた数字を鵜呑みにせず、あくまで大まかな傾向をつかむための目安として使ってください。
そしてもう一つ、最適在庫ゾーンは一度計算したら固定される数字ではありません。目標とする月間粗利を変えれば、ゾーンもそれに連動して動きます。副業として月3万円を目指していた頃と、本業として月30万円を目指す今とでは、当然「最適」な在庫数も違ってきます。目標を見直すたびに、この計算も見直す——それが最適在庫ゾーンという考え方の前提です。
ゾーンを超えたら、処分して「席」を空ける
最適在庫ゾーンという考え方の一番の効用は、「上限」を意識できることにあります。在庫は多ければ良いのではなく、ゾーンには上限がある。そして中古一点モノの場合、一点一点が別々の商品(1点=1SKU)なので、扱える点数には現実的な限界があります。この限界を、ここでは「管理の席」と呼んでみます。
売れずに長く居座っている在庫は、この「席」を占め続けています。よく語られるのは「売れない在庫は資金を寝かせている」という資金繰りの問題で、これはこれで正しい話です(詳しくは滞留在庫の資金繰りの記事で解説しています)。ただ、最適在庫ゾーンの視点で見ると、それとは別の問題も見えてきます。居座り在庫は、資金だけでなく「管理できる点数の枠」そのものを占有しているのです。

管理の席が有限である以上、回らない1点がその席に居座り続けることは、それだけで回転の速い新しい商品を仕入れる余地を奪っています。だからこそ、たとえ多少の赤字が出ても処分して席を空け、回る商品に入れ替えたほうが、全体としては前に進む——という判断が出てきます。「赤字でも売る」という選択は、単なる損切りや資金の現金化というより、ゾーンの上限を守り、限られた管理の席を回転の速いものに使い直すための、積極的な入れ替えなのです。
先ほどの「平均を吊り上げている居座り在庫」を思い出してください。あれが、まさにこの処分の第一候補です。ゾーンを超えたら、まず居座り組から席を空けていく。この循環を回せるかどうかが、目標の粗利を安定して出し続けられるかどうかの分かれ目になります。
最適在庫ゾーンを回し続けるには、仕組みが要る
ここまでの話は、考え方としてはシンプルです。ただ、実際に「今の在庫がゾーンのどこにいるか」を把握し、「超えた分を処分して席を空け」、「体制を広げて管理できる点数を増やす」——これを人力で回し続けるのは、点数が増えるほど難しくなります。一点一点が別商品である中古一点モノでは、なおさらです。
この「最適在庫ゾーンを回す」という作業を、まるごと支える仕組みとして生まれたのが、Amazon中古セラー専用OS「FRIDAM S3(フリダム)」です。今回の記事の流れに沿って、関係する部分だけ紹介します。
- いまゾーンのどこにいるかを把握する:在庫管理画面の上部に、在庫の状況を示す指標がまとまって表示されます。感覚ではなく数字で「今どれくらい抱えているか」を把握できるので、ゾーンの中にいるのか、超えているのかの判断がしやすくなります。
- 超えた分の席を空ける:在庫日数を条件に指定すると、価格を自動で調整して処分を進める仕組みがあります。「安全処分(赤字ストップ)」と「損切り(赤字無視で処分)」の2モードから選べ、値下げの下限も細かく指定できるので、席を空けるスピードを状況に合わせて調整できます。
- 管理できる点数の上限を広げる:パートナーを最大3人まで追加でき、離れた場所でも作業を分担できます。売上や設定などの重要情報はオーナーだけが見られるよう権限が制限され、パートナーの操作はログで確認できます。人力の限界だった「管理の席」の数そのものを、仕組みとして押し上げられます。(どこまで任せるかの実務は外注化・パートナーへの任せ方の記事もどうぞ。)
フリダムの価格調整は、他社ツールにありがちな「ライバル価格への追従」を主目的にしていません。中古一点モノは状態が一点ごとに違い、価格以外の要素でも選ばれる余地があるため、「いかに利益を残すか」を軸にしつつ、長期在庫を持たないための回転も重視する——という設計思想になっています。まさに、最適在庫ゾーンを回すという発想と地続きの考え方です。(在庫管理画面の具体的な使い方は在庫管理画面の使い方ガイドで解説しています。)
まとめ
在庫は多ければ良いわけではありません。初期は「まず動く」でいい。けれど、ある程度回り始めたら、目標とする月間粗利を決め、扱うジャンルの単価・回転から、自分にとっての「最適在庫ゾーン」を逆算してみる。ゾーンには上限があり、超えたら居座り在庫を処分して席を空け、回る商品に入れ替える。そして、その循環を無理なく回し続けるには、体制と仕組みが要る——。今回のシミュレーターで出た数字は、あくまで目安です。ただ、「自分はどこを目指し、そのために在庫を何点で回すのか」を一度言葉と数字にしてみることが、なんとなく在庫を増やし続けて手が止まる状態から抜け出す、最初の一歩になるはずです。
最新情報やお得な情報は公式LINEでも配信予定です。気になる方はぜひ友だち追加してお待ちください。
