せどりに「完璧なマニュアル」が存在しないのはなぜか?再現性の高さが、実は自分でつくるものである理由

「せどりは再現性が高いビジネスだから、誰にでもできる」——そんな言葉を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。実際にやってみると、最初のうちは思うように利益商品が見つからず、「本当にこれは再現性が高いビジネスなのだろうか」と首をかしげたくなった経験がある方もいるはずです。この記事では、せどりの再現性の正体を分解しながら、なぜ完璧な仕入れマニュアルというものが存在しないのか、それでもなぜ参入障壁は低いと言えるのかを、順を追って整理していきます。

目次

この記事でわかること

せどりの「再現性」、その中身の正体

せどりが再現性の高いビジネスだと言われる理由は、突き詰めると「この商品が、この価格帯で、これくらいの頻度で売れている」という事実が、Keepa等のツールである程度データとして裏付けられる点にあります。感覚や勘に頼るしかない商売と違い、判断の材料が可視化されているのは事実です。株式投資やアフィリエイトのように、結果が出るまでに複雑な要因が絡み合うビジネスと比べると、仕入れた商品が「売れたか、売れなかったか」というフィードバックがシンプルで速いことも、再現性が高いと言われる根拠のひとつでしょう。

ここまでは、多くの入門記事で語られている内容と大きくは変わりません。ただ、この「データで判断できる」という再現性は、あくまで再現性の一部分でしかないというのが、今回お伝えしたいことです。

では、仕入れの完璧なマニュアルはあるのか?

ここで少し意地悪な問いを立ててみます。「せどりは再現性が高いから誰にでもできる」というのなら、どこに行き、何を、どうリサーチすれば良いのかまで書かれた完璧なマニュアルは存在するのでしょうか。

店舗せどりであれば「どの店の、どの棚を、どう見ればいいか」。電脳せどりであれば「どんなキーワードで、何を検索すればいいか」。もしこうした手順が一から十まで文書化され、その通りに動けば誰でも同じ結果が出るというのなら、それこそが本当の意味での再現性と言えそうです。しかし、実際にそのようなマニュアルを目にしたことがある方は、おそらくいないのではないでしょうか。

もしそんなマニュアルが本当にあったら、何が起きるか

ここで少し立ち止まって考えてみたいのですが、仮に「この店の、この棚の、この商品を仕入れれば必ず利益が出る」という完璧なマニュアルが本当に存在し、それが広く出回ったとしたら、いったい何が起きるでしょうか。

マニュアル通りに動く人が増えれば増えるほど、同じ店の同じ棚に人が集まり、同じ商品を奪い合うことになります。仕入れ値は当然上がり、出品者が増えれば販売価格は下がります。利益は薄まり、やがてそのマニュアルは「その通りにやっても稼げない情報」に変わってしまいます。つまり、完璧に再現可能なマニュアルというものは、機能した瞬間から自壊していく宿命を持っているのです。

この矛盾こそが、せどりに完璧なマニュアルが存在しない理由だと考えています。裏を返せば、「誰かに配られる形の再現性」は、ビジネスとして成立しない構造だということでもあります。

マニュアル化できるものと、できないもの

私自身、せどりを始めた当初は店舗仕入れ一本で、とにかく店舗を回っていました。店に行けば、目の前に多くの商品が並んでいます。片っ端からリサーチをかける、いわゆる全頭リサーチをひたすら繰り返していた時期です。

この頃に痛感したのは、「自分が売りたいもの・気になるもの」でリサーチしたくなる欲求を、まず捨てる必要があるということでした。せどりで見るべきは、自分の好みではなく「売れるもの」です。店舗仕入れであれば、目の前に何かしらの商品が並んでいる分、迷ったときにもとりあえずリサーチをかけられるという意味で、まだ取っつきやすい方だったと思います。

本当に手探りだったのは、電脳仕入れを始めた頃です。店舗せどりである程度実績を積み、販売履歴が積み上がってくれば、その履歴から同じ商品や似た商品を電脳リサーチの材料にできます。しかし、その材料がまだ何もない最初のうちは、そもそも何をどう調べればいいのかすら分かりませんでした。過去の売上商品から連想したキーワードで検索をかけてみる、といったことを繰り返しながら、検索して商品が多くヒットするキーワードの感覚を、経験として体に染み込ませていくしかなかったというのが正直なところです。

こうした試行錯誤が積み上がってはじめて、「自分には再現性がある」と言える状態になるのだと、今振り返ると実感します。繰り返しているうちに、自然と自分なりのパターンができてくるものです。

マニュアル化しにくいのは、リサーチだけではありません。中古せどりでは、価格設定も同様に属人性の残る領域だと感じています。新品であれば、同じ商品は世界中どこでも同じ状態ですから、価格の目安をある程度機械的に算出できます。しかし中古の一点モノは、同じ商品名であっても個体ごとに状態が異なり、しかも相場自体が日々動きます。「このコンディションなら、この価格帯が妥当だろう」という感覚は、テンプレートの数式に当てはめて出せるものではなく、数多くの出品と販売を経験する中で、少しずつ磨かれていくものだというのが実感です。

そして、本当の意味で再現性があると言えるかどうかは、この自分のパターンを、まったくの初心者——たとえばパートナーに伝えて、同じように実践してもらえるかどうかで試されます。ここでもやはり、マニュアル化できるものと、できないものがはっきり分かれます。商品写真の撮り方、清掃の仕方、納品の仕方、システムへの登録方法といった作業は、比較的容易にマニュアル化できます。しかし、リサーチや価格設定に関しては、どれだけ丁寧にやり方を言葉で伝えても、それを踏まえて相手自身のパターンが確立するまでは、結局その人自身が泥臭い経験を積むしかない領域だと感じています。パートナーへの任せ方そのものについては、以前の記事でも詳しく触れているので、気になる方はあわせてお読みください。

再現性は「配られるもの」ではなく「獲得するもの」

ここまでの内容を整理すると、せどりの再現性には、はっきりと性質の異なる二つの部分があることが見えてきます。ひとつは、Keepa等のデータで裏付けられる「判断の再現性」。もうひとつは、そもそも何を調べる対象にするかという、いわば「母集団選定の再現性」です。前者は最初から誰にでも開かれていますが、後者は自分の行動範囲や得意ジャンルという固有の条件のもとで、試行を重ねた末にようやく獲得できるものです。

多くの人が「せどりは再現性が高いから誰でもできる」という言葉を、この二つ目の部分まで含めて、最初から手渡されるものだと期待して参入しているように思います。ところが実際に必要なのは、自分の条件に合った型が固まるまでの、地味で手探りな期間です。この期間を誰かが代わりに歩いてくれるわけではありません。期待と実際のギャップに直面し、そこで心が折れてしまう方が多いのではないかというのが、これまでの経験から感じることです。

それでも、せどりの敷居が低いと言える理由

ここまで読むと、「結局は根性論ではないか」「敷居は高いのではないか」と感じてしまうかもしれません。ですが、お伝えしたいのはそういうことではありません。

他の多くのビジネスと違い、せどりの試行は一回ごとに正誤がはっきりと返ってきます。仕入れた商品が売れたか、売れなかったか、いくらで売れたか。この結果は、迷いなくデータとして即座に手元に返ってきます。つまり、型が固まるまでの手探りの期間は確かに必要ですが、その期間は決して手がかりのない暗闇ではなく、一回ごとに正しくフィードバックが得られる区間だということです。

だからこそ、せどりの敷居は低いという評価は、間違っていないと考えています。ただしそれは「努力しなくていい」という意味ではなく、「積み重ねた行動が、正しく結果として返ってくる構造になっている」という意味での低さです。この違いを理解しているかどうかが、続けられるかどうかの分かれ目になるのではないでしょうか。

型の獲得速度を左右するのは、試行回数

再現性が「試行を重ねた末に獲得するもの」だとすれば、その獲得速度を左右するのは、単純に試行回数だということになります。同じ期間でどれだけ多く仕入れ・出品・販売のサイクルを回せるかが、型が固まるまでの時間を左右します。

そう考えると、一回の試行にかかる作業時間そのものを軽くできるかどうかは、単なる時短の話にとどまらず、自分なりの再現性をどれだけ早く獲得できるかに直結してきます。これは以前の記事で扱った「作業を速くすること自体が目的ではなく、その分だけ早く次の行動に移れることが重要」という考え方とも重なる部分です。

フリダムでは、過去の売上履歴の商品情報からそのまま複数のフリマサイトを横断してリサーチできる機能があります。これは、電脳仕入れの初期段階で誰もが直面する「何をキーワードに調べればいいのか分からない」という手探りの期間を、ゼロから経験するのではなく、自分自身が積み上げてきた販売実績という材料をもとに補える仕組みです。母集団選定という再現性の外側の部分そのものを肩代わりするわけではありませんが、そこに至るまでの試行回数を増やす助けにはなるはずです。

まとめ

「せどりは再現性が高いから誰にでもできる」という言葉は、半分正しく、半分は言葉が足りていません。判断の材料がデータとして開かれているという意味では、確かに再現性の高いビジネスです。しかし、何を調べるかという母集団選定の部分は、配られるものではなく、自分の条件のもとで試行を重ねてはじめて獲得できるものです。この違いを理解した上で取り組めば、手探りの期間があることに戸惑うことなく、腰を据えて続けていけるはずです。

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